
送電線を伝う一滴の冷気
流れのない暗い海底から
声がする
歩を止めると
いま来た路の背のほうでも
呼んでいる
ちいさな花びらの中では
さめざめと
布の擦れる音がする
月下では
誰かを何かを怨むように
街灯の緑葉が乱れてる
わたしはいつしか
帰る道順を
忘れてしまう

海にヨーグルトを入れたらチーズになった。せっかくだからチーズの上を歩いた。水平線は地平線に変わっていた。足の感触は固かった。歩いてゆくと、チーズからブイの先端が突き出てるのが見えた。それからまた少し行くと船が横倒しになってラム酒がぶちまけられていた。海賊船だったらしい。そこらじゅうびしょびしょになっている。歩きづらい。いっぽ歩く毎にすべって転ぶので、四つんばいになって、手足をばたばたさせた。でもちっとも進まない。困っていると、チーズの中から紅くて可愛らしいりんごのような球体が出てきた。どうやらそれは太陽のようだ。「日の出」と言いたいらしい。そうか太陽の正体ってのは、実はちいさいもんだ。いつも見てる太陽はやはりハッタリの幻なのだと簡単に納得する。そんなことを思い思い眺めてる間に突然、足元がぐにゃぐにゃと不安定になった。太陽熱でチーズが溶け出したのだ。溶けた所から、どんどん浸水している。あわてて逃げ出すが、360度地平線で陸の方向がわからない。(夢日記)


